映画「来る」 を見てきました
映画「来る」を見てきました。
前評判というかツイッターで見かけるネタバレ無しの感想がすごく気になりまして。
ネタバレしない感想
ネタバレする感想
原作小説のネタバレも読んだあとの感想なので、そちらもご注意。
- イクメンクズと育児ノイローゼママ辛すぎか
実は予告動画は見ていたので田原氏は多分クズなんだろうとあたりはつけながら見ていました。底抜けに明るく前向きに振る舞う彼の挙動は結構別の意味で怖かった。幸せです人生順風満帆ですリア充です感が、どう転んでもこれからの転落を予見していて。周りの人間からも見透かされてるのがなんとも虚しい。
まあやってることがブログ書いてるだけしか描写されないので、予告見てなくてもお察しですが…。
自分は既婚者でもまして子供がいるわけでもありませんので、軽率にありそうなどと言える身ではありませんが…100歩譲って平日仕事をしている配偶者が育児に積極性が足りない、は耐えられるかもしれません。が、ろくにせずにブログでさも主体的にやってるようなぽちぽちしてたら、早々にはっ倒したい。
そういうイクメンクズと崩壊してく奥さんと無邪気なゆえに攻撃をしてしまう子供という、どうしようもない状況が、見ていて一番苦痛でした。 - 来たもの
原作と、来訪者の描画や由来が異なるそうですね。
原作の方は結構ホラー感強い気がする。まあどちらにせよ、田原旦那のせいで入り込んできたのは変わらないのですが…。ろくなことしねーなあの旦那。
とはいえ、それまで積極的に関わろうとしなかった田原氏が、自身の不気味な記憶と身の回りに起きる怪異から、自分と家族を守ろうとする心理描写があったのは、わずかながらの制作側の良心なんだろうか…。結局凄惨な死に方してましたが…妻夫木さんで死ぬと思ってなかったよ配役的に。この時は(その後大物も普通に死んでく)
結構怪異自体がしゃべるタイプ。怖い。ホラーとしてそこはすごく怖いです。耳から入る情報って意外と一番つらいかもしれない…閉じられないのもありますし。
特に、恐ろしい声でしゃべる、とかではなく、知人や故人の声で誘うのが怖い。 - 霊媒師キャバ嬢と外見クズライター
外見クズライターは全然クズじゃなかった…やるな岡田准一。ひらパーネタくらいしか映画把握してなかったんだごめんね。結構実力派俳優なのは知っているんですが、なぜか映画で見たのこれが初めてです。ごめんね。
霊媒師キャバ嬢もとい真琴と、外見クズライター野崎は、それまでに出てきた、上っ面リア充な田原氏とその妻、言いたいことも言えないストレスバリバリ醸し出してる香菜と、かなり対象的なキャラクターだなと思いました。
言いたいこと言ってしまう純朴さもある真琴はすごい良心…。途中の怪異強襲の際、生きていてくれて本当にホッとしました。そんなの関係ねえ、なスタンスだったはずの野崎も、いつの間にか深入りしてしまう素直さというか、君は真琴のなんなのさって感じ。意味がないとわかっていても、故・田原氏のフォローを香菜にしてしまう人の良さ…癒やされる。ところで、妻である香菜さんの盛り塩踏みつけ笑顔怖すぎるでしょう…あれが一番ホラーだわ…。黒木華さん、「みおつくし料理帳」というNHKの時代ドラマで、ほんわか努力家のお嬢さんの演技しか知らなかったから、めっちゃこええ。 - アクの強すぎる霊媒師たち
松たか子さん怖い。格好いい。格好いいよ…。
真琴のお姉さんということで唐突に状況を把握した状態で現れた琴子さん。見た目も挙動もなんかもう、すごい。大股で座ってタバコ吸わないで…と勝手にハラハラしていました。国の重鎮すら名刺を出して頭を垂れる、という謎権力。未だにこういう、国家中枢さえ下におく謎の権力、というのを見ると、CLAMPのX思い出します…なんでだ…。タバコもお酒もラーメンも男前なたしなみっぷり。戦う前からこれは勝てるやつ。最後の決戦の際の見事なストレートがしびれました。
そして前評判で松たか子さん演じる琴子と格好良さ2大柱と化していた、柴田理恵さん演じる逢坂セツ子。いきなり腕が吹っ飛んで「えええええええ」となりました。え、めっちゃ強そうだしめっちゃいい人感があるのにここで退場なの?!と。退場はしませんでしたが、最後は…。もともと原作では、野崎と田原との相談のシーンで死んでしまうキャラクターだそうです。最終決戦も原作にない演出だそうで、そこに持って行きたかったんだろうな。
その他の、沖縄のおばあみたいな方々…めっちゃいいキャラしてそうだったのに、追いトラックで生存ののぞみが絶たれた時の私の顔を想像してください。新幹線組のおっさんたちも格好良かった…「まあ、誰か一人くらいたどり着くだろう」ってそれ魔王城かなんかに挑む勇者パーティーのセリフかよ…。誰か死んでしまったのだろうかあの人達も…。というか生きていても最終決戦で(以下略 - 家族
原作では語られるそうですが、怪異の正体は、小説オリジナルの怪異「ぼぎわん」だそうです。映画の中でも津田や琴子がちらちら言っていましたが、口減らしなどの理由で命を絶たれた子供の成れの果てだとか。
田原夫妻の娘知沙、は、結果的には「現実と向き合わず虚構の愛を押し付ける父」と「夫と娘の悪意のない攻撃で壊れかけている母(原作では浮気をしてないらしい…なんでそんなメンタルマッハの要素突っ込んでくるの)」のいずれからも心理的に捨てられている状態になり、ぼぎわんに取りこまれている、なりかけている。ということで、結果的に事件の半ラスボス。死んでしまった両親から擬似的に父と母という役割を、野崎と真琴が担って…という解決の道だったようです。
琴子さんは…あと大量死してしまった霊媒師は…もう最終的になんか泣きたい気持ちでした。
原作は野崎・真琴・琴子が継続キャラ?の小説もシリーズ化しているようなので、琴子が死んでいる確率は低いと思いたい。
でも原作では、知沙は最後のシーンでぼぎわんがつぶやき続けた言葉をねごとで言っている…そして野崎はそれに気づかない。という後味悪いシーンがあるそうだ…。
映画ではまさかのオムライスエンドでしたけども…。 原作にはない霊媒師VS怨霊大戦、霊媒師総力戦の演出が、多分すごいエンタメ感あって、ホラー感も薄れているのだと思いますが…それでも
・田舎の風習にまつわる幼い日の記憶
・そこから「日々の暮らしにまでついてきてしまった忌まわしいなにか」
みたいな、セオリーみたいなものは感じたので、やはりそれなりに怖いです。
でもやっぱり人間関係表現が一番辛い…。
最後にどうでもいい視聴録。
野崎が最後の決戦のさい、祝詞を唱える琴子に申し訳なさそうに「す、すみません、トイレ」と言って駆け出したとき。私は映画館内で壮絶なにょういに耐えていました…「野崎ィてめえ!抜け駆け!」みたいな気持ちだった…視聴前にトイレは行こうね。